Wanna be the Biggest Dreamer

主にポケモンの構築記事について綴るブログです。メジャーな型より地雷型、王道より邪道、メタられるよりメタる方が好きです。

択ゲーについて

 

はじめに

 お久しぶりです。やんこです。今回はポケモンのレーティングバトルをする上で避けては通れない「択ゲー」について着眼した記事です。少し小難しい話を書いていますが、最後まで読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

 

択ゲーとは

 択ゲーとは何か。一番言い換えるのにふさわしい言葉は「じゃんけん」かもしれません。実際、よく択ゲーはじゃんけんに例えられます。では、私たちポケモンレート勢はレート対戦の中で、繰り返しただのじゃんけんをしているのか?答えは否です。自分の持つ情報で、最善だと思う選択をとり続けることがレートを伸ばす上でとても大切です。もちろん完全なるじゃんけんの択ゲーも時に多くありますが、取りやすい択や取りにくい択、挽回の効く択や効かない択など、ただの運だけじゃんけんでは言い表せない場合が多いのです。今回はそのような、じゃんけんでは言い表せない択ゲーについて私の考えるところを語っていきたいと思います。

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択ゲーをする上で意識すべき大切なこと

 個人的に、択ゲーを仕掛ける際に重要視している点が3つあります。「できるだけ択の先延ばしのできる択を選択する事」「確率的にこちらに有利な択を選択する事」、そして「相手からは見えない安定択を選択する事」です。とりわけ3つ目に挙げた点が非常に大切だと考えます。それぞれどういうことなのか、具体例を用いて説明していきたいと思います。

 

 できるだけ択の先延ばしのできる択を選択する事

 これは多くの方が実践していることでもあると思います。言い換えるならば負けに直結する択は選ぶべきではない、ということです。特に序盤のうちは外したら負けに直結するような択は選ばない方が良いでしょう。
 具体例を1つ挙げます。こちらHP満タンのカミツルギf:id:yanko-poke:20180928193150p:plainVS相手HP5割ほどのギルガルドf:id:yanko-poke:20180928193210p:plain でこちらの裏には赤ゲージのカバルドンがいる場面を想定してください。こちらのカミツルギは叩き落とすを持っていますが、非接触技が剣の舞しかありません。それ故、この対面では「キンシ読みの剣の舞」か「シャドボ読みの叩き落とす」の2択となる択ゲーです。
 前者(キンシ読み剣舞)が失敗した場合、つまり剣の舞に合わせてギルガルドにシャドボを撃たれた場合、カミツルギはそのまま為す術もなく倒されてしまい、負けが確定してしまいます。一方、後者(シャドボ読み叩き落とす)が失敗した場合、つまり叩き落とすに合わせてキンシを撃たれてAを下げられた場合、一度カバ引きで能力ダウンをリセットすることで再び同じ択を相手に迫ることができます。

 この項で言いたいことは、勝つか負けるかの50%の択を迫るのが1回なのか2回なのかを考えた時に、後者の方がお得感があって選びやすいということです。もちろんその思考を裏返して、相手側は1手目ではキンシを選択しやすいとも言えます。それ故、この選択は択を先延ばしにし、その場の勝負から逃げる弱い選択であるとも言えます。個々人のプレイスタイルに合わせて考えてもらったら嬉しいです。


確率的にこちらに有利な択を選択する事

 これは上記の「択の先延ばしをする」ような選択をとるべきだという発想と似ています。が、決定的に違う点はゲーム内の確率が絡んでくるということです。見かけ上は50%の択であるが、択負けした上でも運で取り返せる可能性のある択を選択すべきだということです。
 具体例を1つ挙げます。これは2連守るが3割で成功することを利用する選択です。HP8割ほどのギルガルドf:id:yanko-poke:20180928193310p:plainVS相手のHPの削れたメガバシャーモf:id:yanko-poke:20180928193326p:plainの対面を想定してください。こちらの勝ち筋は、フレドラに合わせてキンシを撃ちバシャのAを下げ次の技を耐えて返しのシャドボで倒す、またはフレドラ以外の非接触技に合わせてシャドボを撃ち倒す2バターンがあると思います。基本的には「フレドラ読みのキンシ」か「それ以外の技読みのシャドボ」の2択となる択ゲーです。この場合、見かけ上は2択の50%の択ゲーですが、択負けした際の挽回できる確率が全く違うのです。前者(フレドラ読みキンシ)が失敗した際、つまりキンシに合わせて非接触技を選択された際、バシャ側の安定行動はフレドラとなります。そこで2連キンシを成功させ、Aを下げることで3割の確率で択負けを挽回できるのです。一方で、後者(それ以外の技読みシャドボ)が失敗した際、つまりシャドボに合わせてフレドラを選択された際、ガルドはそのままHPが0になり、負けが確定してしまいます。後者の場合は択負けが試合の負けに直結するのです。同じ択負けでも挽回できる可能性が少しでもあるかないかは、大きな違いであると思います。

 2連守るは1例にすぎず、他にも技の命中率が100でないため択負けしても技外し期待ができる択や、択負けした際にも相手のポケモンへの技の被弾回数が多いため急所に当てる確率も上がる択など、様々あります。もちろん挽回できる確率の高い択を選択するのが常に正解というわけではなく、もしかしたら対戦相手もそれを考慮した上で自分に不利な数字となる択を、相手がとりやすいであろうという考えの元、選択してくるかもしれません。それを含めたうえでの択ゲーではありますが、確率的にこちらに有利な選択をすべきだということは念頭に置いてもらっていいと思います。

 

相手からは見えない安定択を選択する事

 ポケモンバトルは情報戦です。基本的に、使っているポケモン努力値振りや技構成、そしてどのポケモンを選出しているかは、相手視点からは分からない、自分だけの持っている情報です。このことを生かして、相手の取りにくい選択のスキをついて択ゲーに勝とう、という思考です。

 これは少し難しいですが是非とも皆さんに理解して欲しいので、具体例を2つ挙げて噛み砕いて説明しようと思います。1つ目は、相手の考慮の外にあるポケモンでスキを突く選択をとるという事。ブレード状態の弱保呑気ギルガルドf:id:yanko-poke:20180928193753p:plainVS相手のHPが半分削れた2舞メガギャラドスf:id:yanko-poke:20180928193814p:plainの対面を想定してください。この対面、「ギルガルドの性格が呑気で、シールド状態ならギャラドスの2舞地震を耐える」という情報は自分だけが持っていて相手にはない情報です。型バレしていないという前提がありますが、相手視点ではそもそもガルドが呑気以外なら2舞地震で倒せるため、もう1舞する必要がありません。舞っている間に何か技を撃たれ、倒されてしまうのが最悪であるため、キンシされようとも地震連打が安定となります。「地震読みのキンシ」と「竜舞読みの聖剣」の2つの択がありますが、相手がこちらのガルドの型を見誤っている場合やそもそも呑気を想定していない場合に地震連打が安定であることを考えると、こちら側は前者(地震読みキンシ)がより安定択となると言えましょう。

 2つ目は隠している3匹目のポケモンの後投げの選択をとるという事。相手の場にはマンムーf:id:yanko-poke:20180928193855p:plain、裏には冷凍パンチのないのが分かっている削れたミミロップf:id:yanko-poke:20180928193933p:plainがおり、こちらの場には1舞したHP6割ほどのマンダf:id:yanko-poke:20180928193955p:plain、裏にはまだ見せていない鉢巻きナットレイf:id:yanko-poke:20180928194016p:plainがいる場面を想定してください。マンダはマンムーの礫圏内ではありますが、ミミロップの恩返し圏外であります。一方でミミロップの膝+恩返しは耐えるHPではありません。ここでの択は、「礫などでマンムーが突っ張ってくる読みのナットレイ後投げ」と「ミミロップへの釣り交換読みの恩返し」です。前者(ナットレイ後投げ)が成功すれば相手はナットレイのジャイロボールが受からないためマンムーを切らざるを得ず、ミミロップをマンダで倒して勝ちです。後者(恩返し突っ張り)が成功すれば裏のマンムーをナットで詰めて勝ちとなります。本来は守るや宿木などの想定により択が複雑化する場合もあるのですが、簡潔に、ここでの択の勝者が試合の勝者になると考えてください。この対面で大切なのは、裏がナットレイだということを見せていない、すなわち相手視点では裏がナットレイ以外の場合も考慮して立ち回らなければならないということです。それ故、こちらの裏がナットレイでかつこの対面で引いてくるという択を通して初めてミミロップバックという選択をとれます。何が言いたいかというと、相手視点では裏が誰かもわからない状態で裏を1点読みし、引く択というのは少しリスクが高く、取りづらい択であるということです。そのため、この対面ではマンダをナットに引く方がより安定な択であると思います。が、一方でこの思考は逆に相手に利用されてしまう場合があります。裏を見せていないとはいえ、例えばこちらの選出がドラン+マンダ+@1だとしたら、あまりにマンムーが重いので裏がナットレイだと読むことは容易にできます。それ故上記の思考を逆手に取り、ミミロップつり出しという択を通すこともできます。それを踏まえたうえでの心理戦は楽しいものになりますが、非常に選択は難しいものとなります。

 この項で1番言いたかったことは、「相手の見えている情報と自分の見えている情報は全く違う」ということです。それ加味した上で択を選ぶことが安定した勝ちを得る一つの重要な手段であると思います。自分が配信者と当たった時や友達とフレ戦した時など、そんなこと考慮するんだ、また、それ考慮しないんだ、というような思考のズレは多くの方が一度は経験したことがあるはずです。かなり抽象的に言いますが、そのズレを巧みに用いることこそが、より択ゲーでの勝率を高める一番の手段であると思います。この情報戦もまたポケモンバトルの醍醐味の1つであるに違いありません。多くのトレーナーが型バレやそれ前提の立ち回りを嫌う理由の1つでもあると思います。

 情報戦とは言いましたが、相手の選出や立ち回り的にこちらの構築の情報を知り尽くしていると判断した際、また再戦で型がバレてしまっている際はこの項で書いた安定行動が安定行動ではなくなります。分かりにくいと思うので、具体例として先ほどの呑気ガルドVS 2舞メガギャラドスの対面で話を進めます。私自身、よく特殊マンダ+呑気ガルドの並びを構築に組み込んでいます。普段ならばあまり考慮しないであろう2匹だと思いますが、例えば初手の技を1つも見せていないマンダに対してラッキーが後投げされた場合は、こちらのマンダが特殊だという情報がバレており、それが型1点読みの交換であると結論づけて良いでしょう。再戦でもない際は情報共有されているか、またブログを読んだことがあってTNや並びから型バレしているのでしょう。それ故、相手にはこちらのガルドが呑気だという情報も渡っているはずです。そのような展開があった上での「呑気ガルドVS 2舞メガギャラドス」の対面は、決してキンシ安定ではなくなります。こちらの呑気を想定した上での竜舞の選択も十分にあり得るのです。

 

おわりに

 ここまで読んでくださってありがとうございます。択ゲーは常に最善の正解択があるとは限らず、非常に難しい選択をいつも強いられます。1番初めに具体例として挙げた「カミツルギVSギルガルド対面」は、「確率有利な挽回できる択を選ぶ」観念に立つと、キンシを合わされてAダウンしたとしても、叩き落とす急所の勝ち筋が残る「叩き落とす連打」が正解となりますが、一方で「相手からは見えない安定択を選ぶ」観念に立つと、カミツルギの情報を見せていない場合、相手はもしかしたら接触技しか押せないスカーフカミツルギを想定するかもしれず、「剣の舞」が正解となります。このように一見単純そうに見える1つの択でも複雑な次元にもつれ込んでいるということです。それ故、択ゲーとはただのじゃんけんという言葉では全く代替できないものだと私は考えます。

 択ゲーを制し続けることは不可能です。しかし、こちらに有利な数字となる択を押し付けることや相手の取りにくい択のスキを突くことは可能です。今回の記事はそのような、択ゲーをする上で私が考慮に入れていることを文字に興してみました。まだまだ未熟なので自分の考え全てを文字に変換することはできませんでしたが、少しでも皆さんの思考の整理の手助けになれば幸いです。自分の考えが絶対的だという気持ちは全くないので、こういう考え方もあるんだ、くらいに留めておいてもらえたら嬉しいです。安定択だけで勝てるように試合を運べればこの上ないのですが、択ゲーをするというのは高レート帯にいくには避けては通れない道であり、択ゲーに勝って勝利する試合もまたとても心地よいものです。この記事を読んでくれた一人でも多くの方が新しい知見を身に付け、択に強くなってくれることを祈っています。

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